名古屋の中心部にほど近い、古くから残る家々で形成させる町。その町の一角に計画した木造2階建ての二世帯住宅。
この辺一帯の土地は市街地の再編が行われずに狭い道路幅員によって街区がつくられ、敷地に面する2面の道路は4mにも満たず隣地や対面の建物が圧迫した状態であった。それに加え元々建っていた建物は増築を繰り返し、角地の敷地いっぱいに建つことで見通しの悪い環境をつくっていた。
まずはこの町に対する建ち方から考えることとし、敷地に面する2面の道路双方から角度を設け斜めに構える建ち方を選択した。
建築が斜めに構えることで敷地内には三角形の余白がいくつも生まれ、駐車スペースやアプローチ、物干し場としての機能が配置され、同時に室内に光を柔らかく導くバッファーゾーンとしても機能する。
バッファーゾーンやテラスから導く光によって周囲の圧迫から開放され、残りの限られた面積で二世帯の家族が住むことのできる空間をつくるために単純明快な木造の架構を計画し、必要なボリュームを自由に配置することで最大限の床面積を確保し将来的なプラン変更も可能としている。
この「斜め」によってできた余白はこの地に長く住む建主の優しさでもあり、ここに建築によって町に少し余裕を生むことができたように思う。
-則武の家-
建築敷地 : 愛知県
竣工年月 : 2019年11月
工事種別 : 新築
主要用途 : 専用住宅
建物構造 : 木造
延床面積 : 145.75㎡
構造設計 : 坂田興平
Location : Aichi
Completion : November 2019
Construction type : construction
Principal use : House
Structure : timber structure
Floor area : 145.75㎡
Structural engineer : Kouhei Sakata